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「ん…」
午前一時に目を覚ます。
不健康な生活とは思えないほど気分が良く、思いっきり伸びをする。
力が体に馴染んだのかな…?
力は安定しており、試しに手に力を込める。
すると、黒と金が混じり合うような玉が現れた。
前は黒一色だったので、これが夜陽の力というやつなのだろうか。
「あ、そういえば…」
夜の神に言われたことを思い出す。
酒を飲み、力の保有量を増やせと言われたはずだ。
私は早速、冷蔵庫の取っ手に手をかける。
「あ、ない…」
昨日の酒盛りで酒は尽きていたようだ。
冷蔵庫には、冷やしているジョッキしかなかった。
私は支度をした。夜陽の力も馴染み、昼間も外に出れるようになったので、大量のバッグを持って近くの酒を売っている店に行った。
「酒を売っている店」と表現したのは、その店が私にも酒を売ってくれるからで、私にとっての闇市みたいなものだった。
「へい、いらっしゃい。あ、NLちゃんじゃないか!こんな昼間に珍しい。どうぞ、こちらに…」
この店は一見すると魚屋なのだが、会員としての名前を登録し、このことを口外しないことを誓う誓約書を書けば、誰にでも格安で酒や魚を売ってくれる。
もともと、飲み仲間を作るために始めたそうだが今ではただの違法取引所になっている。
NLという名前はもちろん、適当に考えたものだ。
魚屋の奥に入ると、そこには様々な酒が棚に飾られており、外からは絶対に見えない構造となっている。
「何にする?最近新鮮な鮎を仕入れたんだけど、どうかな?」
「鮎あるの?じゃあ15匹ぐらい欲しいな。」
「あいよ。」
この店主とは仲が良く、たまに家呑みに誘って朝まで飲むほどだ。
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