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「うむ。儂は夜の神と申すもの。」
「神様?本当にいたんだね。」
半信半疑で聞く。
だが、この夜の神とやらの気配は普通の人間とは明らかに違う。
「突然じゃが、お主、夜は好きか?」
本当に突然だな。夜の神の前で夜が嫌いとか言ったら殺されそうな気もするけど…ここは私の本心を話しておこう。
「好きだよ。明るいのは嫌い。昼間は眩しすぎる。」
「うむ。儂の待ち望んでいた答えじゃ。」
夜の神はそう言うと、袴の中から何かを取り出した。
出てきたのは…
「御札?」
「そうじゃ。お主に、儂との従属契約を結んでもらいたい。お主のような、夜が好きな人間を、儂はずっと探しておったのじゃ。」
…何言ってんだコイツ…
「あなたが私の下僕になるの?」
「違う!逆じゃ逆。そもそも、お主のことを下僕として扱う気はない。」
「なんで名前も知らない見ず知らずのひと…神様と従属契約を結ばなきゃいけないの?」
でも逆らったら殺されそうだな…
「う〜む。名前か。儂には「夜の神」という名前しかない。お主が好きに呼んでくれ。そして、契約についてじゃが、ここで契約の内容を言うのもあまり良くない。壁に耳あり障子に目ありというからな。場所を変えよう。」
夜の神は御札をしまった。
ここは屋外だから壁も障子もないけど…
「カフェとかに連れ込んで複数の人に脅されて無理やり契約を結ぶ…とかはしないよね?」
詐欺師が良くやる手口。
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