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「そんな詐欺まがいのことはせぬ。それに、別に強要するわけではない。
話を戻すぞ。場所は…儂の神社に来てくれぬか?」
神社…神様だから当たり前か。
「…良いよ。」
二つ返事でOKしたのは、多分、退屈していたからだと思う。人生というものに飽き飽きしていたのだ。
「おお!有り難い!では、少し待ってくれ。」
そう言うと、夜の神は手を勢いよく合わせた。パンッという軽い音がし、
「何を…」
何をするのかと聞こうとしたときだった。
瞬き1回する瞬間、1フレームにも満たないその時間で、目の前に信じられないものができていた。
それは、
「鳥居…?」
このあたりに神社はない。何処かから持ってきたというわけではないだろう。
「ふふん。人間にこれを見せるのは何百年ぶりか…どうじゃ?夜の力はすごいじゃろう?」
夜の神は自信気に言う。
そして、鳥居に向かって何か呟いた。
「………………」
声が小さすぎて聞き取れなかったが、
ここで私は今日二度目の夜の力とやらを見ることになる。
ブォン…
ゲームでしか聞かないような音が鳴り、鳥居の中が某カードゲームの様に渦を巻いた。
「さあ、ここをくぐれば神社に行けるぞ。」
「どこでも行けるドア的な…?これ、私も使える?」
家と自販機を往復するときに便利だ。
「う〜む。どこでも行ける、というわけではない。この鳥居はあくまで神社と俗世を繋ぐためのものじゃ。夜の力なんぞ後で嫌でも教えてやるから、早う来い。」
ゴクリ…
思わず喉が鳴った。
六分の恐怖と四分の好奇心に突き動かされ…ではないが、今の私の脳が好奇心で満ちているのは分かる。
十分の好奇心によって、私は鳥居をくぐった…
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