第壱夜 邂逅

4/4
前へ
/28ページ
次へ
「そんな詐欺まがいのことはせぬ。それに、別に強要するわけではない。 話を戻すぞ。場所は…儂の神社に来てくれぬか?」 神社…神様だから当たり前か。 「…良いよ。」 二つ返事でOKしたのは、多分、退屈していたからだと思う。人生というものに飽き飽きしていたのだ。 「おお!有り難い!では、少し待ってくれ。」 そう言うと、夜の神は手を勢いよく合わせた。パンッという軽い音がし、 「何を…」 何をするのかと聞こうとしたときだった。 瞬き1回する瞬間、1フレームにも満たないその時間で、目の前に信じられないものができていた。 それは、 「鳥居…?」 このあたりに神社はない。何処かから持ってきたというわけではないだろう。 「ふふん。人間にこれを見せるのは何百年ぶりか…どうじゃ?夜の力はすごいじゃろう?」 夜の神は自信気に言う。 そして、鳥居に向かって何か呟いた。 「………………」 声が小さすぎて聞き取れなかったが、 ここで私は今日二度目の夜の力とやらを見ることになる。 ブォン… ゲームでしか聞かないような音が鳴り、鳥居の中が某カードゲームの様に渦を巻いた。 「さあ、ここをくぐれば神社に行けるぞ。」 「どこでも行けるドア的な…?これ、私も使える?」 家と自販機を往復するときに便利だ。 「う〜む。どこでも行ける、というわけではない。この鳥居はあくまで神社と俗世を繋ぐためのものじゃ。夜の力なんぞ後で嫌でも教えてやるから、早う来い。」 ゴクリ… 思わず喉が鳴った。 六分の恐怖と四分の好奇心に突き動かされ…ではないが、今の私の脳が好奇心で満ちているのは分かる。 十分の好奇心によって、私は鳥居をくぐった…
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加