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夜の神は必死に懇願してくる。
ここまで来て、嫌と言うことはできないだろう。
私は首を縦に振った。
「…私が、神主になれば良いんだよね?」
「……!良いのか?本当にいいのか?俗世の生活を捨てることになるぞ?この神社を、助けてくれるのか!?」
「良いよ。なんだか面白そうだし。神社の神主の方が、退屈しなさそうだしね。」
「本当にありがとう…あぁ…良かった…やっとこれで…神社が…」
夜の神がそう言った瞬間だった。
「ゔあ゛あ゛あ゛ゔ…」
「バガアアアアン!!」
この世のものとは思えない声と何かの破壊音が、外から響いた。
「!!」
夜の神は瞬時に立ち上がる。
「まずい!山登りのときに時間を食いすぎたか!」
「どうしたの?」
「ヤツが、来る!」
私たちは急いで外に出た。
目の前に飛び込んできたのは、形容し難い、猫のような化け物だった。内臓のようなものが腹から出ており、左目はなく、右目の不気味な黒い目だけが、こちらを睨んでいた。私たちの身長をはるかに超え、3メートルはあろう巨体が、神社を破壊し回っている。
「何あの化け猫!?」
「アレが…「夜」じゃ。正確に言えば、「夜」の手下…下僕のようなものじゃろう。もしくは、夜に喰われた者の成れの果てか…
ここは儂に任せろ。お主は下がっておれ。」
言われた通り、私は急いでその場から10メートルほど離れた。
夜の神は化け猫に向かって言う。
「…何の用じゃ?今すぐここから立ち去ると言うなら、寛容な夜の神が見逃してやらんこともないぞ?」
「厶すめ…くゥ…オマぇモ…コろス。」
化け猫はそう言うと、前右足を大きく振り上げた。
「そんなもの…」
夜の神はバリアのようなものを展開した。夜の力ってすごい。だが、予想外のことが起こった。
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