第弐夜 契約

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「ゴフッ…!?」 化け猫の猫パンチは、夜の神のバリアを豆腐のように粉砕し、そのまま夜の神を神社の端まで吹っ飛ばした。 「大丈夫!?」 慌てて駆け寄ろうとした時だった。 「く、来るな!お主は、御札を持って来い! 今の儂には信仰がないゆえ、力が出ん!早く契約を結ばねば、お主を儂も死んでしまう!」 そういえば、あの時私たちは御札を部屋においてきた。 「わかった!」 あの御札で契約を結ぶのだろう。 急いで部屋までダッシュする。 「さセるカ!」 化け猫が何かを吐いた。 「うわっ!?」 これは… 「毛玉!?」 ネバネバとした毛玉が私を地面に拘束していた。 「汚い…」 私は急いで毛玉を取ろうとするが、粘ついた糸は体にまとわりつき、なかなか離してくれない。 「貴様!」 夜の神が起き上がり、手に力を込める。手の中に黒い玉のようなものができ始め、 「娘を食うと言うなら、これでも食わぬか!」 化け猫目掛けて投げた。 「コんなモの…」 化け猫は手で玉を弾こうとすると、黒い玉は化け猫の目の前で爆発した。 「ニ゛ャアっ!」 閃光弾のようなものだろうか。化け猫は目を押さえている。 「今のうちに、行け!」 「…うん!」 私はありったけの力を込めて糸から抜け出すと、部屋に向かって走った。 「良かった…」 御札は、床に無造作においてあった。 それを掴んで、夜の神のところまで走ろうとした時だった。 突然、足が重くなった。 「なっ…!」 さっきの糸が、意思を持ったように私の足にしがみつき、地面と一体化していた。 「離せ!離してよ!」 だが、絡みついた糸はそれを拒み、私を拘束し続ける。 「あ゛ああ!」 夜の神の悲鳴が聞こえた。 「いい加減にして!」 私は今までの人生で初めて拳を振り上げ、糸の塊めがけて思い切り殴った。 「いて!」 間違えて自分の足も殴ってしまった。 でも、糸はようやく外れてくれた すぐに夜の神のところまで戻る。
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