早朝に輝く月に誘われ……

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早朝に輝く月に誘われ……

ずっと鬱状態が酷くて、私は私の部屋の片隅でセキセイインコのチナとココと一緒にヒッソリと暮らしていた。 私の部屋ではカーテンを使っていない。 できるだけ自然のリズムに自分の身体が慣れるようにする為だ。 以前は鬱状態の時はカーテンを締め切っていた。しかしそうするとますます気分が悪くなって実際に衝動的に、ある『行動』を起こしてしまう。 今は焦燥感を抑える薬で、その『行動』を抑えているが、主治医からカーテンはいっそのこと取り払った方が良いと言われ今現在に至っている。 鬱状態の時の私は午前中が最もしんどい。布団から出られない。 だから今は旦那がチナとココの世話をしてくれている。 不思議なもので私が塞ぎ込んでいるとチナとココも元気がなく大人しく私の傍で餌を食べ、ジッとしている。 でも今朝は……。 まだ4時38分だというのに私の部屋のカーテンの無い窓ガラスがやけに明るかった。 私はフラフラしながら立ち上がり、窓を開けてみた。 そしたら満月に近い形のお月様が暗い空を神々しい光で包み、街中もその恩恵を受けてキラキラと輝いている。 私は恐る恐る自室を出てベランダに出てみた。 今の私は外に出るのが怖い。 しかしお月様は……。 こんな私にも満遍なく優しい光を浴びせてくれた。 私、生きていていいのかな? 私の目頭からジワッと涙が流れた。 なう(2024/08/21 06:21:24)
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