ボランティア

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ボランティア

 「こんにちは」  「加納さん!」  2月のある日。  おじいさんは、杖をつきながらもしっかりと自分の足で歩いて図書館に現れた。  「うわー、とってもお元気そう」  「本当に。良かったですね、加納さん」  谷川や館長も、嬉しそうに声をかける。  「先月退院して、こうしてまたいつもの生活に戻れました。皆さんのお蔭です。本当にありがとうございました」  つき添うおばあさんと一緒に、深々と頭を下げる。  「いえいえ、そんな。加納さんが元気になられて、私達も嬉しいです」  「そうですよ。またいつでもいらしてくださいね」  「はい、ありがとうございます」  菜乃花はおじいさん達を、カウンターの横の大きなテーブルに案内した。  「ここに座ってくださいね。加納さんの読みたがっていた本、何冊か置いておきます。他にもあれば持って来ますね」  「ありがとう、菜乃花ちゃん」  「いいえ、ごゆっくり」  カウンターに戻り、時折目を向けると、おじいさん達は肩を寄せ合って仲良く本を選んでいる。  (ふふ、良かったなあ)  菜乃花は、しみじみと心の中で呟いた。
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