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 久美乃の話は支離滅裂で一貫性がない。とてもまともに会話できる状態じゃない。法的に何もできないこと、こういうことをされたら逆に訴えることもできると伝えると悔しがるような叫びのあと電話は切られた。  向こうに攻撃の手球はない。もう終わったんだよ、私が勝ったの。 「唯夏さーん大丈夫でしたか?」 「あぁうん、大丈夫、ごめんねプライベートなこと」 「私怨ですか? 怖いですね」 「うん、でももう終わったから」  終わったと思っていた。私だけそう思っていた。  終業時刻になり円香ちゃんはよっぽどの用事なのか急いで会社から飛び出した。 「すみません、今日予定があるのでお先に失礼します」 「はーいお疲れさまです」  ふっと笑みがこぼれた。そして私はゆっくりと帰り支度をして会社から出る。するとロビーで斎藤くんを見つけた。 「斎藤くん! お疲れさま」 「あー、唯夏さんお疲れさまです」 「今日円香ちゃん先帰っちゃったね」 「あー、実はね、あー、これ言っちゃダメかなー」  そんなことを言われたら気になる。興味津々に身を乗り出して斎藤くんの顔を覗き込んだ。   「え? なになに?」
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