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「唯夏さん大丈夫ですか? ちょっと、いい加減にしてください、警察呼びますよ、あ、いや、恭介さん、こっちの話で、はい。週末の飲みの場所はまたご連絡します、え? 今会社にいます、じゃあちょっとまたかけ直します」    斎藤くんは電話を切ると警察に電話をかけるふりをした。 「恭介くん?」 「あ、はい、実は週末の飲みに誘ってて」  心臓が跳ねた。こんなときに。 「私が恋をするのが憎い? 私が幸せになるのが憎い?」久美乃はただ私を睨んでいた。「殺したいくらいに憎い?」 「ちょっ、何言ってんすか唯夏さん」 「私ね、恋をしてるの」 「は?」 「だからあなたは存分に侑哉を愛してどうぞ、それが望みだったんでしょ?」 「いらないわよ、お金もないし今はもう暴力的になったし昔はこんなんじゃなかったのに」 「そうよね、昔は“そこそこ”の男だったよね」  そう。“そこそこ”  特別イケメンではないけど、ブサイクってわけでもなく、背が高いってわけではないけど、低いわけでもない。ものすごい高収入ってわけではないけど、低収入でもない。  そこそこの男。
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