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「なんだったのあの人」  呆然とする斎藤くんには週末に全て話すと伝えて別れた。 「恭介くんもごめんね、騒がせて」 「いや」  あれから一度も会うことができなかった恭介くん。でもこの恭介くんは別の人。  この話をしたら信じてもらえるだろうか、イチから話したら誰かひとりでも信じてくれる人がいるんだろうか。 「恭介くんにも週末ちゃんと話す」 「うん、わかった。送ってくよ」 「ありがとう」  含みを持たすように笑う恭介くんに不審に思いながらも私は前を向き歩き出した。ふたりの距離はまだ縮まってはいないし、始まってもいない。今はまだ私からの一方通行の恋だけどいつか花咲くときがくるのかな。そんなときがくればいいと思う。  あのとき恭介くんが話してくれたことが頭に浮かぶ。恭介くんは私が結婚していたことで失恋をしたと。だけど今も思ってくれているなんて思わない。   「よかった、全て上手くいって」 「え?」    ピタッと足が止まる。   「復讐は成功した?」   「なんで? 恭介くん? え? まだ戻ってなかったの?」
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