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 嬉しくて飛び込みたくなる。ダークグレーのスーツ、いつもより似合って見えていつもよりかっこいいってあの駆けつけてくれた瞬間から思っていた。   「いや、俺はここの俺」 「……? え?」 「多分その俺は戻っていったと思う」 「じゃ……なんで?」 「記憶を残して戻っていったんだ」 「そんな……」 「俺も初めは戸惑ったけど少しずつ記憶が追加されていった感じ」    胸がきゅうっと締めつけられてパンっと弾けた。もう何も考えずに恭介くんの胸に飛び込んだ。 「もういいよね」 「ああ」  恭介くんはふっと笑い私の背中に腕を回した。    私、気づいたの。  ほんとうの最高の復讐はなにかって。    
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