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泡のふたり
――――海辺で見つけたのは、キミにそっくりな人魚だった。
「碧! 碧だよな?」
釣り場の影となる岩場。そこに座っていた彼へ声をかけたとたん、驚いた。
僕が知っていた碧という人物は、幼馴染の親友だ。17歳の僕と、同い年の美人な男子。
当然、彼は人間のはずだった。なんせ僕も人間なのだから。
「……にん、ぎょ?」
肌も滑らかな上裸に対し、青く煌めく微細な鱗が彼の足元を覆っていた。
それは紛れもなく魚類のそれで、陽を反射して7色に艶めく様は見惚れてしまうほど美しかった。
「だれ?」
彼はそう問い返してきた。声も親友の碧そのものだったが直感で察した。
目の前の彼は碧ではない、と。
碧にそっくりな雄の人魚なのだと。
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