足音

7/7
前へ
/131ページ
次へ
「頼む…その話しはやめてくれ……」 「何で?」 「駄目なんだ…あの子は生まれてきてはいけない子だったから……」 「自分の子にそんな事言わないでって私は何度も言ったわ」 「俺もそう思うよ」凛花の言葉に禄助も頷き返した。 「生まれてきてはいけない子なんてこの世には 一人も居ないよ。駄目なんかじゃないから皆会いに行かなきゃならない人の所へ皆が自分でこの人じゃなきゃ駄目なんだって思って親を選んで皆会いに来てんだよ。それなのに選ばれた親であるあんたがそんな冷たい事言ってんじゃねぇよ。あんたがそんな事言ってたら娘さんの方が自分で自分をダメな奴だって責めるようになっちまうぞ?良いのか、それで?あんたはそれで良かったって笑うのか?そんじゃ鬼だぞ?」 将吾は両手で顔を覆ってぼろぼろ泣き出した。 「なぁ将吾さん、亡くなった娘さんのためにも本当の事 教えてくれよ」 「…あぁ、あぁ……」将吾は泣きながら頷いた。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加