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「ドレスのサイズに問題はなさそうですね。他に直してほしい箇所などありますか?」
「いいえ、大丈夫よ。これが良い」
身体のシルエットがはっきり分かるマーメイドドレスは、細っそりとした身体で背が高い植原にはとてもよく似合っていた。
「ではメインのドレスはそれで決定と言う事で。私は今からお色直し用のドレスを取りに行って参りますので すぐ戻りますからそのままでお待ちになっていて下さい」
「分かったわ」
「一旦失礼します」従業員の女は軽く頭を下げると姿勢良くスタスタと歩いて部屋を出て行った。
植原は姿見に写る自分をちらっと見た。
『僕と結婚してくれませんか?』
真剣な顔で自分の両手を握ってきた伊東の事を思い出していた。
『僕はもう貴方しか愛せない』
プロポーズされた時に渡された指輪にはロードライトガーネットの宝石が埋め込まれていた。宝石の意味は“勝利”。まさに今の植原にぴったりの宝石だ。
「ふふっ…本当、男って単純…」
左手薬指の指輪を見て植原はにやっと笑った。
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