振り向いた記憶

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将吾さんと一緒になれたら私は幸せになれたかもしれないなぁ……。 いつしか人として好きと言う思いは愛に変わっていた。 だけど自分には夫が居る。どうしたってこの人と一緒になるなんて事よっぽどの奇跡が起こらないかぎり絶対に無理。 その気持ちは将吾も同じだった。 看護師としてただでさえ忙しい業務の中も絶やすことなく患者さん達に笑顔をふりまく優しいゆう子を一人の女性としてずっと素敵だなと思っていた。 いつかこんな女性が自分の奥さんになってくれたら良いのに と。 だが二人の愛を運命は許しはしなかった。 偶然ゆう子が働いていた病院に健康診断のために訪れていた禎通の母親に二人が仲睦まじく寄り添って話しをしている所を目撃されてしまったのだ。 ゆう子は禎通の母親から問い詰められた挙げ句もう二度と将吾に会わない事を条件に病院を辞めさせられ、そして将吾と離れる時『もう会うのはこれきりにしましょう。さようなら』と伝え将吾の前から姿を消した。
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