振り向いた記憶

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「それから間もなくして赤ん坊が産まれた。自分の子供とは知らない禎通は俺とゆう子の子供を本気で自分の初めての子供だと信じてそれからはずっと凄く可愛がって大事に育てた。根っからの悪い奴じゃないから、子供が産まれてからは浮気癖も直してゆう子とも仲直りして真面目な父親として子育てを頑張っていたそうだ」 「加奈子さんの名前は何処で知ったの?」 「花凛から聞いた」将吾は指差して教えた。 「ゆう子さんとは同じ看護学校だったの。それで何度かお話しする事もあって、街でベビーカーを押して歩いてるゆう子さんと偶然再会した時に赤ちゃんの名前を聞いたの」 「そうなんだ。将吾さんと花凛さんって…?」 「恋人よ。ゆう子さんにフラれて落ち込んでる将吾があんまり可哀想だったから無理矢理私から迫って強引に付き合ってもらったの」 「わぉ、積極的ぃ〜…!良かったね、将吾さん。ボッチになんなくて」 「う…うん……」将吾は苦い顔しながら笑った。 「で、加奈子さんとは会った事あんの?」 「いや、さすがにそれない。近付いて何か悟られたりしたらまずいからな」 「会えば良かったのに」と花凛は言って足を組み直した。 「簡単に言うな」将吾は軽く花凛を睨みつけた。
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