硝子の靴

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硝子の靴

 新しく買ったブーツは少し大きかった。 サイズが合うブーツは他にもたくさんあったけれど どうしてもこれが良かった。 このブーツが店の中で一番お洒落で一番大人っぽくて まるで自分を違う人に変身させてくれる魔法の硝子の靴に見えたのだ。 今までの事を全て忘れられるように早く大人になりたかった。 自分を知らない人達しか居ない世界で自分だけを愛してくれる眩しい陽が当たる優しい世界で生きたかった。 一度しかない人生、キラキラ輝く光りある場所に手を伸ばし もう二度と離さない。違う自分に生まれ変わって全てを0から始めるんだ。 後悔?してないと聞かれたら…さぁどうなのだろうか?…… 静かに雪が降る中 行き交う人で混み合う街の中を一人で歩いていた少女の肩を誰かが ポンポン と叩いた。 立ち止まって少女がゆっくり振り返ると背後には見知らぬ二人の男子が立っていた。
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