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「いくら嫌いでも自分の親族が亡くなってしまったんだぞ?何とも思わないのか?」
「思わないわ」冬子はきっぱり答えた。
「あんな奴 消えて正解よ」
「冬子さん…!」梨木が顔を顰めた。
「酷いでしょ、私って?最低でしょ、私って?でも叔母さんのために涙を流す人が他にいっぱい居るんだもの、一人くらい私みたいな意地悪でクソみたいな奴が居たって良いでしょ?」
冬子は雪だるまをやんわり抱きしめた。
「毎日酒臭くして好き勝手暴れては意味もなく怒鳴ってた叔母さんを見るたび さっさと死んじゃえって心の中でいつも怒鳴りつけてやってたわ。そしたらそれが本当に叶ったの。思いの力って凄いわね。……家族や世間の人達はこの事件を皆揃ってバッドエンドだって嘆くでしょうけど私は違う」
冬子は顔を上げると二人を真っ直ぐ見つめた。
「家族の誰の手も汚す事なく美しく終われた この殺人事件は間違いなく“ハッピーエンド”よ」
公園に咲いていた赤い椿の花が首からぼとりと落ちた。真っ白な雪の上に咲いた赤はにやっと笑った。
おわり
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