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「息子君の親の代理で来てたからじゃねぇの?」
「それも考えたのですがどうも違うみたいですよ。息子さん、坂城那緒君は林田さんの事を“ママ”と呼んでいましたから」
「離婚か?」李兎が昴に聞いた。
「いえ、それも違うらしいです。林田さんには林田さんと言う旦那様がいらっしゃいますから」
「うん?」
わけが分からなくなってきていつも笑顔の李兎が珍しく顰めっ面になった。
「息子は養子なんじゃねぇのか?まだ正式な手続きが終わってないからその日はまだ前の家のままだったとか…分かんねぇけど」
「あぁ!なるほど!」
「だからまだそうと決まったわけじゃないからな?」
「それでね、話しの続きなんですが、林田さん最近離婚されたそうなんです」
「えぇ?」禄助は眉を寄せて昴を見上げた。
「と言う事で、私はここいらで失礼します。理由はドーナッツ屋の閉店時間が迫っているからです。加えて無料引き換え券の有効期間も今日まで」
「こらこら」
「待たんか。話したい事だけ話して帰るんじゃない」
踵を返して生垣を跨いで帰ろうとしている昴の腕をガシッと二人は掴んだ。
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