コバルトブルーの瞳

1/7
前へ
/131ページ
次へ

コバルトブルーの瞳

 Purple Queen(パープルクイーン)事務所、略してPQ事務所にはロクと同じクラスの女子、財前(ざいぜん)鞠奈(まりな)三上(みかみ)夢子(ゆめこ)が所属していた。 二人はモデルで財前の方は最近女優業も始めていて 去年の夏にヒロイン役として出演した夏の恋ドラが当たって今やあちこちに引っ張りだこ。とても忙しくしている。 一方で三上は赤ん坊の頃からモデル業をしていてその頑張りが認められてきて最近は有名な海外のランウェイも歩く活躍ぶりを発揮し始めていた。 さっきから三上は携帯で隠し撮りしていた禄助の写真を眺めてはずっとニヤけている。高校の入学式で一目惚れして以来禄助に激しくお熱なのだ。 壁際に立って撮影の順番を待っていた財前は斜め下で椅子に座ってニヤニヤしている三上を見下ろして呆れていた。 「…貴方よく飽きないわね。そいつの何処が良いって言うのよ?」 同じクラスで席も隣、もちろん話しだってした事はあるが一度だって素敵だとは思った事がない。むしろ生意気で腹が立つ。 「全部よ、ぜ・ん・ぶ♡もうかっこよすぎて…きゃあ〜!もう超好きぃ〜!」 恋は盲目の手本はきっと彼女で間違いない。写真でも撮って辞書に貼っつけてやろうか と財前は本気で思った。 「あっ!そう言えば財前ちゃん 今朝日本に戻って来たの?」 財前は先週いっぱい韓国で撮影していたのだ。 「…そ」相変わらずクールな財前の返事は素っ気ない。慣れっ子の三上は何とも思わず「怪我なく戻って来てくれて良かったよ〜!もし何かあったら今度の撮影 一緒に出来ないもん!」と にこにこ 笑い返した。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加