コバルトブルーの瞳

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「本人にいくら聞いても『気分じゃなかっただけです』としか答えてくれなくて…前は仕事に対して適当な子じゃなかったのに って私達の方でも困っていて……」 「それからすぐに“連絡が取れなくなってしまった”んですか?」 萩野が聞くと植原は えぇ と頷き返した。 えっ!? と財前はちょっと驚いた。 「じゃあ本当に突然なわけだ…」と梨木の方もびっくりしている。 「誰か…春野さんと仲が良かった子とかに聞いてみたりしました?」萩野が続けて聞くと「あの子、あまり友達がいなくて…」と植原は言った。 「根が真面目だからか、冗談も通じないような子でして…だから他の子達からはちょっと苦手がられてて…。本人もそれは気付いてたみたいで だからいつも周りの悪口とかを気にしないように撮影の待ち時間はスタジオの端っこの方で椅子に座って本を読んだりしていたんです。…学校でもあんな感じみたいでいつも一人だから あんまり仲良しっていえる子は居なかったみたいです」 「じゃあつまりはっきり言ってマネージャーである植原さんや春野さんのご両親以外で春野さんの近況について知ってる方はいないと言う事ですか」 「えぇ、そうなりますね」植原は頷いた。 悲しいかな…。そろそろお尻が痛くなってきたので誰も見てないのを良い事に財前は床の上であぐらをかいた。
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