コバルトブルーの瞳

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「あっ、でも…」 「何か?」 「あ…いえ、あの…本当かは分からなくて…」 「大丈夫ですよ。聞きますから思い出した事があったら話して下さい」 ただでさえ春野が行方不明になって頭がこんがらがってる植原がこれ以上パニックにならないように梨木が柔らかくにこっと笑って言ってみせた。 おかげで少しほっとしたのか植原は短く深呼吸すると 「さ、最近うちの事務所に移籍してきた彗星と呼ばれてる青海さんと言う高校一年生の女の子がいるんですけど、私が桃佳のお母さんから携帯で娘が家に帰って来なくなったと連絡を受けた日、ちょうど連絡をもらった時 私事務所の女子トイレにいて…そしたらたまたま同じトイレに入ってた青海さんが私達の会話を聞いてたみたいで 私が電話を終えて鞄の中に携帯をしまって桃佳を探しに外に行こうとしたら『春野さん、変な事呟いてましたよ』って青海さんに言われて…」 「変な事?」萩野が聞き返した。 「なんでも青海さんがマネージャーさんと一緒にうちの事務所の下見に来た日に桃佳が誰もいない廊下で壁の方を向いて携帯を見つめながら『どうしよう、どうしよう!』って焦ってる感じで言ってたそうです。何に対しての どうしよう なのかは分からないし、疑って申し訳ないけど青海さんの聞いた事や言ってる事も本当に本当かは分からないんですが…」 「そうですか…。分かりました。では我々の方でも後で青海さんに聞いてみます。話してくれてありがとうございました」 「ありがとうございました」 萩野と梨木が軽く頭を下げると「こちらこそ、何のお役にも立てず…」と植原は頭を下げた。 「刑事さん」植原は顔をあげると社長室の方に向かって歩いていく二人を引き留めた。
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