2人が本棚に入れています
本棚に追加
歳の差事情
ふわぁ〜!と大きな口が開いた。
銀縁眼鏡をかけた二つ結びの女の子か派手に欠伸したのだ。同じ生徒会の昴は隣で眠そうに瞼をこすっているその子を見てクスッと笑った。
「徹夜はお肌に悪いですよ」
「んな事言ったってやってもやっても仕事が片付かないんだからしょうがないじゃない。もうっ、何で毎回毎回期日ギリギリになって提出してくるのかしら!?」
部費のプリントを睨みつけた彼女の名前は笠原香里。昴と同じ部活・同じクラスのため昴繋がりで禄助達とも顔見知りだ。
「あんた寝てんじゃないわよ!PR作成始めてあれから一週間、一個も進んでないの知ってんだから!!」
笠原の怒りはパソコン前でうたた寝していた同学年の加藤にまで飛んできた。
かくんっ と頭を揺らして目を覚ました途端 「うっせぇな!教室でもガミガミ、昼飯中もガミガミ、部活でもガミガミ、お前は俺の母ちゃんか!?」と加藤が怒鳴り返した。
「それはこっちの台詞よ!私だってね、ガミガミ言いたくて言ってんじゃないんだから!大体あんたはいっつも……」
「なぁに彼、食事中も笠原君に怒られてるのかい?忙しないねぇ」
「そんな事よりさっさとこちらの書類に判子下さい」
呆れながら二人を眺めていた生徒会長で同クラの小鳥居の頬に昴は書類をぐにぐに押し付けた。
最初のコメントを投稿しよう!