歳の差事情

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「溜め息ばかりついてると運が逃げてくわよ?」 聞き慣れた声に また面倒なのが来たわね… と笠原はさらにイラッとした。 「あんた仕事は?」 「今日はオフ。たまには部活に顔出せって文句言われたから仕方なく来てやったのよ」 偉そう…何様のつもりよ?だから友達が出来ないんだわ…。 ふんふ〜ん 鼻歌混じりに前髪の毛先を指でいじってる財前を笠原は眼鏡の奥で軽く睨みつけた。 二人は同じクラスで 特別仲が良いと言うわけではないのだが笠原は学級委員もしてるので担任から頼まれて財前が休んだ分の課題プリントだの何だのをどうしたって“声をかけて”渡さなくてはならない。それで同じクラスの子達より話す回数がちょっとばかし多いだけの関係。 「さっき渡り廊下を歩いてたら中庭で天野君が女の子に捕まってたわよ。あれは多分告白じゃないかしらね?」 「あぁ、天野のやつ容姿だけは良いからモテるのよね。萩野達は中身はど変態だって言ってたわ。でも隠してるから誰も知らないんだって」 「へぇ!人って見かけによらないわね。オモロ…」 生徒会室に戻るために引き返し始めた笠原の後ろを財前が着いて来た。当然笠原は無視して歩き続けていたのだが…その時だった。 二人の居る場所から少し離れた向こう側の廊下を誰かが ぴゅーーーっ と横切って行った。よっぽど急いでいたらしくその生徒は二人に気付いていなかったみたいだ。
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