怪しい老人

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「…怪我は?」 「してない。平気よ」 本当は転んだ時に地面についた手が少し痛かったが禄助(こんな奴)に弱がってる所を見られたくなかったので財前は笑みを浮かべて誤魔化した。けどまぁ勘が鋭い禄助は財前が後ろに組んだ手で右手をさすってるのに気付いていたのだが…。 「悪化する前に病院行けよ?」 「…っ!…平気だって言ってるでしょ!」 「あー、そう…心配してごめんネぇ」 禄助は部活着の入ってる鞄を背負いなおしてバス停に向かって歩き始めた。 向かう場所が同じなため財前は禄助の隣を歩いていた。 「……」 「……」 話す事が特にないため無言になって歩いている間も雪の方は休む事なくどんどん降ってくる。 「着いて来んなよ!」 「おっ同じバス停なんだからしょうがないでしょ!?貴方こそ着いて来ないでよ!」 「俺はあのバスじゃなきゃお家に帰れないんですー!!」 「それは私も同じですー!!」 こんな寒い中 何やってんだか…。向かい合って ぜーぜーと二人は肩で激しく息をした。
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