プロローグ

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「ねぇ刑事さん」 冬子は嬉しそうに笑いながら前のめりになって萩野に話しかけた。 「ん?」 「私ねぇ、叔母(あいつ)が居なくなって今すっご〜く幸せなんです!ようやく願いが叶ったからよ?ずっとこの時が来るのを願ってた…七夕の時も短冊に早く死んじゃえって書いたし、クリスマスにサンタさんへのお願い事も叔母(あいつ)を一瞬で殺せるナイフを下さいってお願いしたし!…あぁ、嫌な奴が消えちゃうのってこんなに快感だなんて初めて知っちゃった…やばい気持ち良い〜…!」 萩野と梨木は冬子から異様な不気味さを感じて ぞっとした。                「狂ってますよ、あの子」 取り調べを終えて廊下に出ると 気持ち悪っ と梨木は鳥肌の立った身体をさすった。 「まぁ気持ちは分からなくはないがな…」 「それにしても、ですよ」 梨木はため息ついた。 「物価は上がっても給料は上がらず、それでも生きたきゃ働け働けのストレス社会、いくら嫌な事を忘れるためとは言え 逃避先がお酒じゃあ まずいでしょう。ますます疲れる一方ですよ、良い事なんて何にもないでーす…」 「まぁな…」萩野は苦笑いした。
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