ドーナッツ

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「…そ、そんな事を聞いてどうするの?だいたいキミ達には関係ない事だよ」 坂城は歩いて来ると玄関のドアを開けた。 「さ、那緒、手を洗っておいで。せっかく買ってきたピザまんが冷めちゃうからね」 「は〜い」 下に降ろされた那緒はパタパタ洗面所に向かって走ってった。 「キミ達はもう帰りなさい」坂城はドアを閉めようとしたが禄助が今度は右手でそれを止めた。 「自分が受け持ってたクラスの子の一人と付き合ってたんだろ?そいつの名前が知りたい」 「何の話しだかさっぱりだね。溜まってる仕事があるからやっちゃわないといけなくて今とても忙しいんだ。キミ達とゆっくり話してる時間がないくらいね」 「息子とピザまん食う時間はあってもか?」 「それとこれとはワケが違うでしょう?どんなに忙しくても大切な息子との時間くらいは取るさ」 「谷口加奈子さんと恋人だったってマジ?」 「違う!あの子とはそんな関係じゃない!」 「あんたとその子が付き合ってたって噂流れてるぜ?」 「誤解だ!決してそんな関係じゃ…」 「なら答えられんだろ?ちゃんと説明しろよ!あの子死んじまったんだぞ 誰かに殺されたはずなのに自殺だって事にされてな!」 「っ!!」 しばし二人は睨み合った。 「パパぁ?」那緒に声をかけられたところで坂城はようやく禄助から目を離した。
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