ドーナッツ

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 三人がアパートを出て行ったのを坂城は部屋の窓からこっそり見ていた。 「パパどうしたの?」 ピザまんのケチャップを口につけながら聞いてきた那緒に「何でもないよ」と言って坂城は那緒の口元をティッシュで拭いてやった。 「あっ、那緒、手がべたべたになってるね。台所から布巾取っておいで」 「うん!」 立ち上がった那緒が台所に走ってくのを笑みを浮かべながら見送って それから坂城はズボンから携帯を取り出すなり どこかに向かって電話をかけ始めた。 「……。……あ、坂城です。いつもお世話になっております。あの…あの人ってまだそちらに居らっしゃいますでしょうか?えぇ、ちょっと話したい事がありまして……」
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