ぼくだけが知ってる話し

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「あぁ それだ」 「千八百円になりまーす」 萩野がぴったり代金を渡すと「まいど!」と笑って言って橘は金を巾着袋に入れた。この店は孝成の爺さんの代からずっと電卓だ。 「レジ置かないのか?」 「孝成君、アナログ人間だから。レジあったらあったで楽なんだろうけど、私もこっちで慣れちゃってね」橘は使いこまれた電卓を見せた。 「それより饅頭ちょーだい!」 「孝成の分 残しとけよ」 「忘れなかったらね」 最初から残す気はさらさらないらしい。ばりばり雑に包装紙を剥がし箱の蓋を投げて饅頭を食べ始めた橘を見て こいつは小学生か? と萩野は思ってため息つくと帰ろうとして後ろを向こうとした。 「あんた 相変わらず仕事忙しそうだね。孝成君も心配してたよ。いつか身体壊すんじゃないかー?って」 「忙しいのはお互い様だろ」
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