ぼくだけが知ってる話し

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「それと、現地の警察が自殺で処理した終わった話しを調べ直すなんてよっぽど暇なんだねぇって嫌味まで言ってた」 「何の話しだ?」萩野がゆっくり振り向いた。 「ありゃりゃ?これ言わない方が良かったっぽいやつ?だったら息子君マジごめんなさいだわ」 「禄助がどうしたって?」 明らかに怒り始めてる。橘は心の中で ロクちゃんごめーん!! と何度も禄助に謝った。 「あのぅ…あのさ、ほら!天気良いねって話し的な?」 「今日は猛吹雪だ」 びゅおーーーっ と激しく吹雪いてる窓の外を見て オーマイガッ! と橘は両手で頭を抱えた。嘘をつくのが下手なのにも程がある。 「そんで?うちの馬鹿息子がなんだって?また何かやってんのか?」ぎろっ と萩野は橘を見た。 もう逃げられない! ひえぇ〜 と橘が泣きそうになった その時   「ただいまぁ」 上着についた雪を玄関先で払い退けながら川島が店に帰って来た。 川島は片腕しかない。昔 萩野と一緒に刑事をしてたのだが、ある事件で誘拐犯に攫われた四歳の女の子をやっと見つけ助けに入った瞬間 気付いた犯人に殺されそうになった女の子を庇ったせいで犯人によって斧で右腕を切り落とされてしまったのだ。だから今は警察官を退職して祖父の店である本屋で店長をしている。 「孝成君っ!」ばっ と橘は川島の元へ走って行くとすぐさま後ろに隠れた。 「なんだい?どうした……」そこまで聞いてレジ前に怖い顔して立ってこっちを見てる萩野に気付いて「駿じゃないか!久しぶりだね!」川島は にこり と笑った。
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