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「……アルコール依存症ね。まぁ僕達はいつも一緒に暮らしてるわけではありませんからああいう性格の人が居ても仕方のない事でしょう?って思えるんですよね。結局他人事だって本心の根っこの一番深い場所では思ってますから」
「まぁな。…だがアルコールが切れた途端に急に奇声を発したり暴れ出したりされりゃ誰だってたまったもんじゃない。それも毎日だ。同じ家に住んでる家族だったらストレスで頭がどうかなっちまいそうだよ、つうか絶対可笑しくなる」
二人は自販機のある休憩室までやって来ると萩野は椅子に座って 梨木は自販機で“午前のミルクティー”を買って飲み始めた。
「疲れた日の午前ティーはやっぱり美味しいですね」
「本当好きだな それ。毎日飲んでてよく飽きないもんだよ」
美味い! と言って飲んでる梨木を見て萩野は苦笑いした。
「……。さっきの話し…」
「はい?」梨木が振り向いた。
「今はまだ芳佳さんの母親が側で彼女の面倒を見ているから良いんだ。問題はその母親が亡くなった後だ」
「…そうですよね。もしいつかその日が来たら残された芳佳さんの面倒は…何処かの病院に入居したとしても芳佳さんのお姉さんである冬子さんの母親が見ることになりますもんね。いくら保険がきくとは言え入院費だって馬鹿にならないでしょうし……妹のために稼いでは世話に明け暮れるお母さんをきっと冬子さんは見たくないでしょうね。だからさっき冬子さんは幸せだって笑ったんです。不安だった長年の悩みの種が消えたから……」
「萩野さんっ、梨木さんっ!」若い後輩刑事が二人の所へ息を切らしながら駆け込んできた。
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