ぼくだけが知ってる話し

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「ねぇこの本読んだ事ある?結構面白いよ?禄助君に買ってってあげたら?あの子ジャンルとわず本読むの好きじゃん」 「はぐらかすな。川島、何故知ってるか答えろ」 「だ〜から秘密だって」 「まさかお前まだあいつらと繋がってんじゃないだろうな?」 高額な値段で情報を売って歩いてる奴らの事だ。お金持ちの家の子の川島は 刑事をしていた若い頃 よくそいつらから難解事件の情報を買い取ったりしていたのだ。 「それはない。安心して、警察辞めてから一度も会ってないから」 どうだか…。萩野はあまり信じる事が出来なかった。 「一年も前に亡くなってたんでしょ、その女の子」 「…あぁ」 「変だよね。誰よりも近い距離で暮らしてた家族が娘の不思議な亡くなり方について誰一人疑問を持たないなんて。だって死亡推定時刻は一年前だよ?それでもいつも一緒に暮らしてたっておかしくない?しかも、谷口さん家を担当してる警察だって 絶対おかしい話しなのに死因について深く調べなかったんでしょ?なんかさ……皆揃って娘さんを“隠してる”みたいじゃない?」 「確かにな」萩野は頷いた。 「なんか気持ち悪いよね…皆さ」 しばし二人の会話に間が空いた。「お待たせー!」と 木製の盆にカップを三つとマリービスケットを乗せた橘が にこにこ 戻ってきた。 「聞いて、この前スーパーでマリー安かったの!本当はムーンライト食べたかったんだけど売り切れちゃっててさ!皆正直よね、安いと思うと ばーーーっ って買ってっちゃってさぁ」 こっちにもバーゲン好きが居た。萩野と川島は やれやれ と苦笑いした。
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