雪に残る足跡

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雪に残る足跡

 「…私知らないからね」 「お前っ…俺だけのせいにする気かよ!?ふざけんなっ!!」 薄暗いバーの奥、赤いカーテンに言い争ってる二人の男女の影が映っていた。 店はもうすぐ閉店時間が近い事もあって客は居らず カウンターのとこで静かにグラスを きゅっきゅっ と拭いてる年老いたマスターが一人居るだけ。 「だって私はただ通りかかっただけだもん!」 「そしたら俺だって同じだよ!お前との待ち合わせ場所にただ行っただけで…。……つうか、あの場合 俺じゃなくて明らかにお前が百パー悪いだろ…」 「はぁっ!?」女はカッとなって「なんでよ!?意味分かんない!!」と男の胸ぐらを掴んだ。 「私は悪くないわ…そうでしょ?」 「…そんな事 聞かれたって……あの時 間違いなくお前が…」 「なら庇ってくれるわよね?私の事 愛してるんでしょ?」 「……」 「何とか言いなさいよっ!!恋人なら私の事 助けてよっ!!」 「ちょっと宜しいですかな?」 マスターがカーテンをそっと開けて喧嘩してる二人に声をかけた。
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