雪に残る足跡

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「嘘吐きはハゲの始まりですよ」 「必要な嘘はハゲないから大丈夫なんです。それより真面目に今一人なら夕飯食べに行こうよ、奢るから。朝っぱらから飲まず食わずで歩きっぱなしだったからお腹ペコリン子ちゃんだよ」 「ギャグが古い…」 「煩いよ。ちょっと令和生まれだからって平和生まれ馬鹿にすんじゃないよ」 「馬鹿にはしてません。……あら?」 「なぁに?」 何かに気付いて梨木の後ろを見ている昴を見て それから梨木も後ろを振り向いた。 「あのお爺ちゃんと知り合い?」 「いえ。あの人、この前 私の知り合いの病院に運ばれた方に似てるなぁと思いまして」 「運ばれた?」 「えぇ、足を怪我したとかで。その時 近くの病院に電話してあのお爺さんをタクシーで連れて来たのが禄助君なんです。同級生の財前さんと言う女性も一緒だったんですけど…」 「ふ〜ん、そうなんだ」 「まぁただ足を捻っただけのようでしたので大事には至らなかったらしいのですが…禄助君が妙な事を言っていたんです」 「妙な事?」 「あのお爺さん前田(まえだ)さんって言うんですけど、前田さん 何だかこの街の人ではないらしいんですよね。…あぁ、住まれてるのはこちらの県で間違いないらしいんですけど もっと山奥の田舎から来てる人なんじゃないかって」
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