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「ええ?将吾さん?…………………
…………………………………………」
「えっ父さん、もしかして覚えてらっしゃらないんですか?」
「歳のせいですかなぁ?」
死体にしか興味ないだけだろ。梨木はまたため息ついた。
「あのぅ、去年あたりだかに仕事で利き足を骨折して入院したって息子から連絡きたんですが…」
「ちょっと待って下さいね。ええっと、この引き出しじゃないあれでもないそれでもない…あら、どこにしまったんでしたっけ?」
どうやら頭の中の引き出しをひとつずつ開けて探してるみたいだ。清はしばらく一人でぶつぶつ言いながら引き出しを見て
「あっ!ありました!見つけました!はいはい、工事作業中に梯子から落ちて怪我されちゃった前田将吾さんですね!」と前田に聞いた。
「そうです」前田は頷いた。
「将吾さんについて何をお尋ねに?えぇ、何でも答えますよ。何故なら私は院長だからです」
「キミのパパちょっとアホなんじゃないの?」
「失礼な!父さんは立派です!」
息子もアホだった。もう今日で何度目になるか分からないため息を梨木はこぼした。
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