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コソコソ話し
ひまわりきらきら子供食堂とひまわりの絵が描かれた可愛い看板が建てられた小さな食堂の庭、色とりどりなビオラの花壇が置いてある辺りでピンクのギンガムチェックのエプロンを着けた恰幅の良い女は「知りません」と きっぱり答えた。
「知らないわけないよ。養護施設の先生達や同じ施設に住んでる子達に混ざって那緒はご近所にあるこの食堂によく皆で飯食いに来てたって那緒の面倒見てた先生達が言ってたんだから」
禄助が言うと「何の事だか分からないわ」と和田美々子は背を向けて食堂の中に戻って行こうとした。
「待てって!」禄助は和田の腕を掴んだ。
「嫌っ!離して!もう貴方と話す事なんて何にもないの!!」
何も知らない人達から見たら二人のやり取りはまるで何かの恋愛ドラマのワンシーン。
食堂の外に置いてあるベンチに座って眺めていた李兎は「禄助、役者になったらどうかね?」と笑った。当然 あ? と睨み返された。
「あんたは話す事なくても俺はあるんだよ!」
「俺にもある!」
二人の間に突如出現した恋のライバルを見て禄助は げっ!! と後退った。ライバルはまさかの自分の父親 萩野駿だったなんて…。
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