コソコソ話し

4/9
前へ
/131ページ
次へ
「そう言や言伝に聞いた話しなんですが、和田さんって大学生の時、坂城さんの元奥さん・林田さんと同級生だったそうですね。話し好きで初対面の相手ともすぐに仲良くなれる和田さんと人見知りで自分から誰かに話しかけるのが苦手な林田さん。正反対な二人だけどお互いにないものを持っているからか二人はいつの間にか親友の間柄になったと…。 そしてある日、貴方がバイトしていた居酒屋にたまたま食事しにふらっと現れた坂城さんが結婚相手を探してるのを知り、同じように誰か相手を探していた林田さんを紹介して貴方は二人を引き合わせた。だけど妙な事に、時たま貴方が坂城さんと二人きりでホテルに入って行く姿も目撃されている…。ー坂城さんが知らない人なはずないですよね?」 「…………」和田はしばらく黙ってしまった。 「親友を裏切って不倫してたって事?」禄助が聞いた。 「…不倫なんて言わないでよ。私は……」 「だってそうじゃん」 「違うわよ!」 「既婚者の男性とそのような関係を持った事が一度でもあるならば それはちゃんとした不倫だな」李兎が頷きながら言った。 「和田さん、親友の林田さん、突然死だったそうですよ。理由は誰も知らないそうです。その事については何かご存知で?」 「……知りません。何も」 「これはあくまで私の憶測ですが林田さんが自殺してしまった事に もしかして貴方、何か関係してるんじゃありません?例えば…不倫がバレて林田さんと口論になった、とか…」 「馬鹿な事言わないで!そんな事…」 『何でよっ!信じてたのに!!』 和田の脳裏に わんわん泣きながら自分を両手で叩いてくる林田の姿が一瞬過った。 思い出して和田の唇がカタカタ震え始めた。 「何かあったんでしょ?林田さんの事も含めて坂城さんの事も 貴方が知ってる事 全て話してもらえませんか?」萩野は強く和田を見つめた。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加