コソコソ話し

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揚げたての唐揚げの匂いが食堂の方から風に乗ってこっちにまで流れてきた頃には近くの児童養護施設から先生達と一緒に幼い子供達が「お腹空いた〜!」「今日何〜?」と きゃっきゃっ わいわい 笑顔いっぱいにぞろぞろ食堂に集まって来ていた。 「和田ちゃん、先ご飯食べてるからねー!」 食堂の台所の勝手口を開けて顔を出した同僚に「分かった!もう少ししたらそっち行くから!」と返事して和田は軽く手を振った。 それから和田は食堂の縁側にゆっくり腰を下ろした。隣には自販機で買ってきた缶の甘いカフェオレを持った李兎が優雅に足を組んで座っている。 「…刑事さん達の調べあげた通りよ。私は坂城と付き合ってた。育子に紹介する前からね」 「付き合ってたのに何で譲ったの?」禄助が聞いた。 「育子の方が坂城と並ぶと絵になるから」 「は?」禄助と萩野は目を丸くした。 「私こんな見た目でしょ?坂城と一緒に歩いてると坂城のお母さんと間違えられる事ばっかなのよ。それが嫌でね」 「痩せたら良いじゃん」 「簡単に言わないでよ」和田は むっ と禄助を見た。
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