4人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで何だか気に入られちゃったみたいで、毎日仕事帰りにそこの道を通るたんびにその女の子が後ろからついて来るようになったんだって」
「怖っ!」禄助は眉を顰めた。
「その事を警察に相談されたりは?」
「大事にしたくないからって私以外の誰にも言わなかったみたいよ。育子にもね」
「女の子の名前ってご存知です?」
「ごめんなさい。分からないの」
「つけ回してくるヤバい女に“すいません、貴方のお名前何ですか?”って聞く奴なんて居ねぇよ」
「分かってるわ!一応聞いたんだよ、一応!」
「どんな見た目のお嬢さんだったかも聞いてないのかね?」
「あっ それは聞いた!髪が長くてまつ毛も長い可愛い子だって! 」
「そんな女 世の中いくらでも居るわい。ほとんど化粧で化けてっけどな」
「お前は余計な一言が多いんだよ」
「うん、叔父さんの言う通りだな。だからお前はいつもクラスの女の子達とも喧嘩になるんだ。特に財前さんとな」
萩野と李兎 二人に言われてカチンときた禄助は「ううう、うっせぇ!バーカ バーカ!」と怒鳴り返した。
小学生みたい…。和田は思った。
「つうか、もうひとつ あんたに聞きたい事があんだけど良い?」
「何?」和田が禄助を見た。
「坂城さんが昔谷口加奈子さんって子と付き合ってた噂があんだけど その事について何か知らない?前に直接坂城さんに聞いたんだけど教えてくんなくて」
和田は少し黙って考えた。それからゆっくり口を開いた「あれは違うわ」と。
「あの人は谷口さんとは付き合ってないわ。ただ放課後にいつも彼女の相談を受けていただけ」
「相談って?」
「誰にも言えない話しよ、誰にもね。だって誰にも知られてはならない話しだから…」
和田はそれを最後に二人の関係について何も話さなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!