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「それは分かってる。普段なら気にしないわ。芸能界じゃよくある事だしね」
「なら何でそんな気にかけてんのよ?」
「ついこの前うちの事務所に警察が来たの」
笠原は財前に視線を向けた。
「辞めてったモデルの子の事を話してた。春野さんって子なんだけど、その子のマネージャーの植原さんが警察に妙な事を相談してたわ。春野さんと連絡が取れなくなったって」
「モデルの仕事をするのが億劫になったから着拒してただけでしょ」
「家にも居ないらしいわ」
「はぁ?」笠原は顔を顰めた。「なにそれ、行方不明になったって事?」
「そうみたい」財前は頷いた。
「でもその事は公にしてないみたいで他のモデルの子達や従業員の人達は誰も知らないようなの。プロデューサーも何も聞かされてないみたいで…」
「でもあんたんとこの事務所に警察が来たなら誰かしら春野さんの話し聞いてたりしてんじゃないの?だってあんたは知ってるじゃない」
「私はたまたま話してる所に通りがかったから知っちゃっただけで」
「盗み聞きしたの?」
「だって気になるじゃない?」
笠原はちょっと呆れた。「あんた萩野に似てるみたいよ」
「どこがよ?あの人と一緒にしないで!大体あんな場所で話してる人達が悪いんだから!」
そうやってすぐカッとなって言い返してくる所も似てるのよ?笠原は やれやれ とため息ついた。
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