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「で、さらに気になる事がありまして、それがですね 将吾さんには一人娘さんが居てその方の名前が“かなこ”さんと言うらしいんですよ」
「ありゃま…!」李兎はさらに驚いた。
「前田さんね、息子さんの奥さんにも娘さんにも一度もお会いした事ないんだそうです。しかも奥さんの名前すら分からないらしいです」
「えっ、結婚の挨拶に来たりしなかったの?」財前が聞くと「えぇ」と昴は頷き返した。
「おかしい話しでしょう?前田さんね、突然息子さんから連絡が途絶えたもんですから心配して探して歩いてたそうなんです。でも手がかり一つ無くて困ってらしてねぇ。どう思います、禄助君?」
昴が寝ている禄助の方に尋ねると「聞き回って歩いてた時 俺も変な話し聞いた」と返事が返ってきた。
「貴方起きてたの!?」財前はびっくりした。
禄助は髪の毛をボサボサにしたままむくりと起き上がった。頬には鞄の跡もついている。
「商店街の酒屋の叔母ちゃんが知り合いからご近所のドラッグストアにいっつも居た煩いって有名な嫌われ店員が急に姿を見せなくなったって噂を聞いたって。しかもそこのドラッグストアを担当していた前田って名札付けた店長まで姿を消したらしいってな」
女の子が遺体となって倒れていた草むらを橋の上から一人険しい表情で見つめていた萩野の所へ「萩野さん!」と梨木が走って来た。
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