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カスタードプリン
『将吾、美味しいか?』
『うんっ!めっちゃ美味しい!お父さんプリン作るのだけは上手だね!』
『あはは…。まぁお前のお母さんがお菓子作りが上手な人だったからな。よく手伝ってたからプリンだけは一人でも作れるようになったんだよ』
『ふぅん。でも僕もっと甘いカラメルの方が好きだな。だから今日のお父さんのプリンは七十点ね!』
息子の将吾は父・正一が毎日おやつの時間になると作ってくれるカスタードプリンが大好物だった。正一もまた自分が作ったプリンを笑顔で 美味しい美味しい と食べてくれる将吾を見るのが毎日の楽しみのひとつだった。
「……将吾、何処に行ってしまったんだ?」
前田正一は知らなかった。本当に何も知らなかった。まさか孫の“かなこ”があの世の人になってしまっていたなんて事を。
『…か、“かなこ”が亡くなったぁ!?』
『落ち着いて下さい、前田さん。名前が同じだけで人違いかもしれませんし、ただ我々は似た名前の人が最近亡くなったとお伝えしただけで…』
梨木の言葉を最後まで聞かず あぁ… と前田はその場で気絶してしまった。
やっべ、やっちまった…。と梨木が後悔した時には既に時遅し ごっほん! と梨木は天野親子に怖い顔で睨みつけられていた。
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