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それから前田は目を覚ましてからも立ち上がる事が出来なかったため天野総合病院に入院する事になった。
前田の容態はあまり良いものとは言えず入院してから二、三日ほどは抜け殻になってしまったように病室の窓から見える景色を一日中ぼんやり眺めてるばかりで 誰かが話しかけても無反応で食事さえ食べようとはしなかった。
「失礼します。前田さん、具合の方はいかがですか?」
笑みを浮かべた清が病室を見にくると前田はゆっくり振り向いて「ご迷惑おかけして…」と謝った。
「そんな事ありませんよ。実はですね 今日、前田さんとお話ししたいと言う子を連れて来たんです。今お話ししても大丈夫そうですか?」
「私と?…えぇ、大丈夫ですよ」前田は頷いた。
こんにちは と病室に入ってきたのは禄助と李兎と昴の三人だった。前田は禄助の顔を見ると「あぁ、キミはあの時の!」と笑みを見せた。
「いやぁ あの時は助けてくれてありがとねぇ。おや、今日は“彼女さん”は一緒じゃないのかね?」
財前の事を聞いたのだ。初めて会ったあの時同じ制服で二人ずっと一緒に並んでいたもんだから今の今まで二人の事を恋人だと勘違いしていたらしい。
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