夕日に染まる坂道で、幻の君と

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夕日に染まる坂道で、幻の君と

   さほど進んでもいないのに息が上がってくる。  赤々とした夕日に照らされ少し汗が滲む。  木々が生い茂り、ひぐらしは騒がしい。  自転車を押しながら必死に登るのは、山の上に建っている、私が通う高校までの坂道。    一度家に帰ったものの教室に忘れ物をしたことに気付いた私は、また学校へ戻っていた。  高校に入学して半年。未だにこの坂道には慣れない。  その上、一度帰ってまた往復するなんて体力的にも精神的にもつらいものがある。  山の中腹に大きなカーブがあり、私は一旦足を止めた。ここから見える街の景色が好きだ。  夕日に照らされた街を眺めながら息を整える。 「さて、もう少し頑張ろう」  小さく呟き、ハンドルを握る手に力を入れ、踏み出そうとした。  その瞬間、上から物凄い勢いで自転車が駆け下りてくる。  私に気付いたその人はひどく驚いた顔をしてハンドルを切るが、余計にバランスを崩す。  自転車は大きな音を立てながら激しく横転した。  かごに入っていたヘルメットが転がる。   「あ、あの、大丈夫ですか?!」  私はヘルメットを拾い、急いで駆け寄った。  見たことのない人、青色のネクタイ。三年生だ。    先輩は頭を抱えながらゆっくりと起き上がる。   「いててて……」  顔をしかめながらも立ち上がり、私を見てへへ、と笑う。 「ごめんね。驚かせちゃったよね。大丈夫だった?」 「私は何も……。それより先輩は大丈夫ですか?」  かなり強く全身を打ち付けていた。山道と言ってもアスファルトで舗装された道。  あんなに盛大に転べば大怪我をするはず――。 「うん、大丈夫大丈夫」  制服についた砂を払う先輩は確かに傷一つなく、平気な様子で自転車を起こす。  本当に大丈夫なのだろうか。   「えっと……これ……」 「ああ、ありがとう」  拾ったヘルメットを渡すと先輩は恥ずかしそうに笑い、今度は自転車を押して坂道を下っていく。    何事もなかったかのように下っていく先輩の後ろ姿を啞然としながら見つめた後、私も学校への坂道を登っていく。  山道を登っている息切れなのか、先ほどの先輩が衝撃だったのか、私の鼓動は異様に早い。  それでも、先輩のはにかんだ笑顔がなんだか可愛くてしばらく頭から離れなかった。  数日後、自転車を押して坂道を下っていると、カーブを曲がったところで少し先に先輩を見つけた。    今日は自転車を押している。  そもそも、校則で坂道を下る時は自転車に乗ってはいけないことになっている。  理由はもちろん危険だから。  登りは乗ってもいいが、この坂道を自転車を漕いで登りきる猛者はほとんどいない。 「先輩……」    追い付いてしまった私は無意識に声をかけていた。 「君は、この前の……」 「はい。あの、大丈夫でしたか?」 「うん。この通り大丈夫だよ」  何のことかは言わなかったけれど先輩もわかっているようだった。 「ほんとバカだよね。禁止されてるのに自転車で駆け下るなんて」 「でも、何事もなくて良かったです」  そのまま並んで坂道を歩いた。  あの日、先輩は飼っている柴犬の調子が悪いと家族から連絡があり、急いで帰ろうとしていたらしい。幸い、大きな問題はなかったそう。 「黒の豆柴。まめって言うんだ」  見せてくれた写真には先輩の膝の上で丸まり、気持ちよさそうにするまめが写っていた。 「先輩のこと大好きなんですね」 「うん。僕が帰るとすぐに駆け寄ってくるんだ」 「かわいいですね」 「もう年なんだけどね。大切な家族なんだ」  まめの話をする先輩の表情は穏やかで、その優しい笑みに、この時間が心地よく感じられた。  山を下りきったところで一旦立ち止まり、ヘルメットを被る。  右側の道を曲がる私に対し、先輩は立ち止まる。  私は軽く頭をさげた後、その場でこちらを見つめる先輩を背に、家までの道を自転車で走った。  その後も放課後の坂道で、何度か先輩と会った。  私たちは自然と会話をしながら坂を下るようになっていた。  ある日、先輩はカーブの所で立ち止まり街を眺めていた。  私も隣に並び、夕日に染まる街を眺める。 「僕、ここからの景色が好きなんだ」 「私も好きです。赤く染まった街がキラキラして、自分の住む場所が違う世界のように思えます。こんな景色が見られるなんて、唯一この坂道のいい所ですねっ」  少しおどけて言うと先輩は笑ってくれた。  そして―― 「杏奈ちゃんは可愛いね」  私の顔を見てそう言った。  急に名前を呼ばれてびっくりした。  目を見開き先輩を見ると、自転車に入れてあるヘルメットを指さされる。    ”坂本杏奈” ヘルメットの内側に書いてある。 「ごめんね。ちょっと馴れ馴れしかったかな」 「い、いえ。大丈夫です」  名前を呼ばれたこともそうだが、可愛いと言われたことにもドキッとした。  良かった、そう言って笑う先輩の笑顔も可愛くて、でもそんなことは言えなくて、私は心の中だけで呟く。 『隼人先輩も可愛いですよ』  ”山崎 隼人” 一番初めに会った日、ヘルメットを拾った時に見ていた名前。私はまだ呼べずにいる。 「あと半年でこの景色も見られなくなるのか。寂しいな」  先輩は独り言のように呟く。  あと半年……。先輩と知り合ってまだ数週間なのに、半年後には先輩が卒業してしまうと思うと私も寂しくなった。 「そうですね」  私も小さく呟く。先輩は何も言わず微笑んでくれる。  この、穏やかな時間がずっと続けばいいのになんて思っていた。    ◇ ◇ ◇  日が沈むのも早くなってきた日の放課後、私はカーブのところで立ち止まり景色を眺めていた。  すると、坂の上から車輪が回る音が聞こえてくる。  目を向けると、先輩が自転車に乗って坂道を駆け下りて来ていた。   「先輩っ!」  私の横を通り過ぎようとする先輩を呼び止める。  急ブレーキをかけた先輩はカーブを曲がったところで止まった。   「杏奈ちゃん」 「先輩、自転車に乗って下るんですか?」 「え? いや……」  先輩は自分でも驚いているような表情で、ハンドルを握る自分の拳を見る。 「また転びますよ。一緒に押して行きましょう」 「うん。そうだね」    自転車から降りた先輩と並んで、いつものように坂道を下る。  少しボーっとした先輩はなんだか元気がないように見える。   「先輩、何かありましたか?」 「どうして?」 「なんとなく、元気がないなって」 「杏奈ちゃんは優しね」  そう言っていつものように可愛く笑う先輩。  はぐらかされたような気もしたが、私の顔を覗き込み笑う先輩にそれ以上何も聞けなかった。 「もし、何かあったらなんでも言ってくださいね。聞くことしかできないかもしれないですけど……」 「ありがとう。杏奈ちゃんとこうやって話してるだけで元気がでるよ」 「それなら、良かったです」  先輩と並んで歩くこの時間が好きだ。  可愛く笑うところも、少し不思議なところも、名前を呼んでくれるところも全部。    ◇ ◇ ◇  その日、私は急いでいた。  母から頼み事をされていたのだ。帰り道に通りがかるスーパーのタイムセールで、卵を買ってきてほしいと。  それなのに日直の仕事が思っていたより長引いてしまった。  途中まで自転車を押して坂道を下っていたものの、これでは間に合わないと思い、迷った末に自転車に跨る。   「ごめんなさーい」  気休めに呟きながらペダルに足をかけたとき――。 「何やってるの!」  後ろから、ひどく怒った様子の先輩に呼び止められた。 「先、輩」 「自転車から降りて。危ない」 「でも、私今日は急いでて」 「そんなこと関係ないよ。下りは危ないから乗ったらいけないことになってるでしょ」  本気で怒っている先輩。見たことのない表情だった。  でもこの前、先輩も自転車に乗って下っていた。  それにこのままだと本当に間に合わない。 「卵のタイムセールに間に合わないんですっ」 「卵と命どっちが大事なの!」 「命なんて大袈裟ですよ」 「僕は杏奈ちゃんを心配してるんだ!」  先輩の大きな声が空に響く。  私の前に立ちはだかる先輩に、不貞腐れながらしぶしぶ自転車を降りた。 「これでいいですか。じゃあ、私急ぐので」  どこか悲しそうな顔をする先輩を尻目に、自転車を押しながら早足で坂道を下った。    あんなに怒らなくてもいいのに。  私はモヤモヤする気持ちを抱え、スーパーへ行った。  少し遅くなってしまったものの、卵はまだ残っていて、無事に買うことができた。  自転車のかごに入った卵を見ていると、先輩と険悪な雰囲気のまま別れて来てしまったことが途端に気になり始める。  私のことを思って言ってくれたのに、あんな態度をとってしまった。  先輩は私のこと、どう思っただろう。呆れてしまっただろうか。   次に会った時、先輩に謝ろう。    けれど、あれから何日経っても先輩と会うことはなかった。  時々、カーブのところで景色を眺めながら先輩が通るのを待ったりしたけれど先輩は来ない。  今日は休みだろうか。タイミングが合っていないのだろうか。  そんなことを思っているうちに何日も過ぎ去っていった。  ◇ ◇ ◇ 「えー、昨日、校則を破って自転車に乗って坂道を下っていた生徒が転倒し、骨折しました」  朝のホームルームで、先生が改めてルールを守るよう注意喚起をしていた。  その生徒は大腿部を骨折して全治三ヶ月だそうだ。 「危ないね」 「骨折痛そう」 「全治三ヶ月……」 「二年生らしいよ」 「二年生?! 来月の修学旅行行けないじゃん」 「かわいそう」  クラスのみんなが口々に呟いている。  そんな中、私は他人事に思えずにいた。    あの時、先輩が止めてくれなければ怪我をしていたのは私だったかもしれない。    無性に先輩に会いたくなった。喧嘩別れしたままなんて嫌だ。  ちゃんと先輩に謝りたい。お礼を言いたい。また以前みたいに一緒に並んで歩きたい。  放課後、三年生の教室の前に来ていた。  先輩は以前、教室が家庭科室の隣だと言っていた。  授業中、調理実習の匂いでお腹がなるんだと笑って話してくれたことを思い出す。  恐る恐る教室を覗く。    先輩は、いないみたいだ。もう帰ったのだろうか。    私は教室から出てきた三年生に思い切って声をかけた。 「あの、山崎隼人先輩はもう帰りましたか?」 「山崎隼人? ってだれ?」 「え、このクラスにいませんか?」 「うん、いないよ」  確かに先輩は家庭科室の隣の教室だと言っていたし、それはここ三年二組だけだ。  先輩が噓をついていた? なんのために? 「山崎先輩が何組か知っていますか?」 「うーん。山崎隼人ってこの学年にはいないと思うげど」  この学年にいない?! じゃあ二年生? いや、そんなことはないはず。  先輩は三年生の色である青いネクタイをしていたし、あと半年で卒業だとも言っていた。  混乱しながら廊下を歩く。通る教室をチラチラ覗いては先輩がいないか確認する。  いくら探しても先輩の姿はなかった。  先輩は、どこにいるの?  ふと、顔を上げた時、職員室が目に入る。  私は化学教師である担任の先生のところへ向かう。  三年生の化学の授業も受け持っていると言っていた。 「先生、聞きたいことがあるんですけど」 「おお。坂本が質問なんて珍しいな」 「質問というか、まぁ質問なんですけど。先生、三年の山崎隼人先輩って知ってますか?」 「坂本は山崎と知り合いなのか」  先生は先輩の名前を聞いて驚いた顔をする。先輩のこと、知ってるんだ。 「えっと……はい」 「事故からちょうど一年だな。まだ容態は変わらないのか……」    えっ? 事故? ちょうど一年? なんのことだろう。最後に先輩と会ったのは二週間前。  先輩から一年前に事故に遭った話なんて聞いたことはない。それに……容態?  先生の言う山崎先輩は違う人なのではないだろうか。  そう思いつつ、気になることもある。 「先生、その事故って――」  先輩は一年前、自転車に乗って坂道を駆け下りていて転倒してしまった。  頭を強く打ち、いまも意識不明で入院しているそうだ。 「真面目なやつだったんだけどな。あの日、愛犬の調子が悪いとかで急いでたらしい。親御さんが連絡して急かすんじゃなかったって悔やんでた」  先生の話に心臓が大きく跳ねるのを感じる。  先輩が、言っていたことと同じだ。  先輩は意識不明で入院している……?  じゃあ、私が会った先輩は、一緒に過ごしたあの時間はなんだったんだろう。  幻? 夢? 幽霊? もう訳が分からない。    でも、確かに私は先輩と出会った。先輩と同じ景色を見て、先輩と歩いた。  それは噓なんかじゃない。  私は飛び出していた。先のことなど考えずにただ走った。  息を切らしながら着いたのは、六階建ての、横に大きく広がった無機質な建物。  この街で一番大きな病院だ。  先輩がここに入院していると先生から聞いた。    受付で聞いた病室の前まで行く。  入口ドアのプレートには確かに”山崎隼人”と書かれている。  本当に先輩は入院しているんだ。  私は、先輩に会ってどうするのだろう。意識がなく、眠っている先輩と会って何を思うのだろう。   「先輩……」  呟いた時、後ろから声をかけられた。 「隼人のお友達かしら?」 「えっ……」  振り向くと、先輩によく似た穏やかに笑う中年の女性がいた。  先輩のお母さんだろうか。 「制服ってことは後輩さんかしらね。お見舞いに来てくれたの? どうぞ入って」  開かれたドアに、私は軽く会釈をして中へ入る。 「前まではよくお友達がお見舞いに来てくれてたんだけど、みんな卒業して大学に行ったり就職したりで最近はなかなかね。きっとあなたがきてくれて隼人も喜んでるわ」  荷物を備えつけの棚にしまいながら話しかけてくる先輩のお母さん。  私はドアの前から動けずにいた。 「今日は荷物を置きに来ただけなの。私はもう行くけどあなたはゆっくりしてね」 「はい……。ありがとうございます」  病室を出ていくお母さんは優しく微笑んでいたけれど、その背中は悲し気だった。  私は一度、深呼吸をしてゆっくりとベッドで寝ている先輩に近づいていく。  心臓がドクドクと鳴っているのがわかる。  自分のなかで得体の知れない怖さが押し寄せている。  けれど、頭に浮かぶのは先輩のはにかんだ可愛い笑顔だった。  眠っている先輩の顔をそっと覗く。 「…………」  穏やかな寝顔だった。  眠っているけれど、私が知っている先輩だった。  事故に遭い、意識不明であるということの実感が今更ながらに湧いてくる。  私はベッド横にある椅子に座った。  少しずつ怖さというものがなくなっていく。けれど、それに反して悲しさがこみ上げてくる。   「先輩、私のことわかりますか」  そんなことを聞いても、もちろん返事はない。  聞きたいこと、知りたいこと、言いたいことがたくさんある。  先輩に伝えたいことがある。 「あの時、私のために怒ってくれてありがとうございました。それなのにあんな態度をとってしまってごめんなさい。――先輩は、どうしてあそこにいたんですか。どうして、あれから現れてくれないんですか」  私が出会った先輩がなんだろうとそんなの関係ない。  出会えたことが幸せだと思った。奇跡なんだと思った。 「隼人先輩……」  ずっと、呼びたかった名前。  名前を呼んだら先輩はどんな顔をするだろう。  先輩の笑っている顔が見たい。また、杏奈ちゃんと呼んでほしい。  目を、開けてほしい。  けれど、私にできることは何もない。  「私、先輩と歩くあの坂道が好きです。先輩と眺める夕方の街の景色が好きです。楽しそうにまめの話をする先輩が、可愛く笑う先輩が、好きです」  口に出したのは初めてだった。  でも、先輩には伝わらない。  私は、自分の気持ちを伝えることすらできない。  「また、来ますね」  私は眠ったままの先輩に微笑み、立ち上がると病室を後にした。  それから何度か先輩の病室に足を運んだ。 『今日は雨上がりに虹が出ましたよ』 『学校の金木犀が咲いてとてもいい香りがするんです』 『昨日、先輩のお母さんがまめの新しい写真飾ってましたよ』  相変わらず先輩は眠ったままで、私が話しかけたところで何の反応もない。    以前のように先輩と話しがしたい。  私のことを見て欲しい。  でも、目が覚めた先輩はきっと私のことなんてわからない……。      放課後、もしかすると、なんて思いながら坂道で先輩を待ってみたりもしたが、やっぱり先輩は現れなかった。  それが当たり前なのかもしれない。先輩は病院で眠っているのだから。  そして、私はまた先輩の病室の前に来ていた。  先輩が現れなくなって三ヶ月以上が過ぎている。  私は、先輩と過ごした時間が夢だったのではないかと思い始めていた。  そんなことはないはずなのに。  先輩との時間がなかったものになっていくようで悲しかった。  先輩に、会いたい。  私はゆっくりと病室のドアを開けた。 「っ……!」  体を起こし、ベッドに座った状態の先輩と、目が合う。  目を、覚ましたんだ。  一瞬で涙が溢れてくる。心臓が、苦しい。呼吸の仕方も忘れてしまいそうなほど全身がぎゅっとなる。 「うっ、ううっぅ、ひっくっ」  先輩は私を見て、ひどく驚いた顔をしている。  それもそうだ。先輩にとっては知らない人がいきなり病室を開けて号泣し始めたんだ。  驚くに決まっている。    でも、そんなことはおかまいなしに涙は次から次へと溢れてくる。  先輩が、私を見ている。それだけで胸の奥が熱くなる。  流れ落ちる雫を袖で拭った。何度もズルズルと鼻をすすった。  視界が滲んで先輩の表情はよく見えない。  そんな中、先輩が手招きしてベッド横の椅子を指さす。  私は促されるまま椅子に座る。  先輩はベッド横の棚に手を伸ばし、ティッシュを数枚取って渡してくれた。  泣きながらティッシュを受け取り鼻をかむ。袖で涙を拭う。   「ひっく、うっ、ううっ」  何度拭っても嗚咽がとまらない。  たくさん話したいことがあるのに何も言葉が出てこない。 「杏奈ちゃんは、泣き虫だね」 「っ……」  先輩がいつものように私の名前を呼ぶ。  溢れ出る涙をそのままに先輩の顔を見る。  先輩の手が私の頬に伸びてくる。  そっと涙を拭ってくれた手のひらに、初めて先輩の体温を感じた。 「ずっと、君の夢を見てた気がする。また、夢でもいいから会いたいと思ってた。でも、夢じゃなくて良かった」 「隼人、先輩……」   「やっと、名前を呼んでくれたね」  そのはにかんだ可愛い笑顔は、私の大好きな先輩そのものだった。  
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