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でも唯一今の話の中で分かった事がある。それは、
――『私は可愛いかったんじゃなくて、可愛くなったんだよ?』の部分。
という事は……それはつまり、
「それってもしかして、整――」
『整形』と、言いかけたところで僕は慌てて口を閉じた。
つい思った事をそのまま口に出してしまうのは僕の悪い癖だ。
佐々木結衣がジト目で睨んでくる。
「え? もしかして今、整形?って言いかけたでしょ?」
僕はその言葉にぶるん、ぶるんと首を振った。
そんな僕の反応に彼女は、怒ったように一瞬だけ頬をプクッと膨らませたが、
「本当、奏君って分かり易いね! それにしても整形かぁ……ひどくない?」
と、今度は一転、ふふふ、と吹き出すような笑みを零した。
この情緒豊かで可愛らしい表情変化を見てつくづく思う。
この顔に整形した医師は間違いなく世界最高の名医だと……。
そう思っていたところへ、
「――いや、でも違うから」
「え?」
「うん。だから、私のこの顔、整形じゃなくて天然だからね?って事」
僕の中でほぼ確定していた〝美容整形説〟が崩れ始める。
今の時代、美容整形はもはや珍しくないし、仮にも彼女の美貌が美容整形によるものだったとしても僕は特に何を思う事も無かった。
むしろ、『なるほど。世界最高技術による美容整形か。どうりで可愛い過ぎるわけだ』と、納得したくらいだった。
でもその逆、佐々木結衣のこの可愛さは天性によるものだと聞いた今は『そうだよな!そもそもこの〝可愛さ〟を人の手で作れるわけがない!まさしく神が作った最高傑作だ!』と、自分で自分の思い起こした〝美容整形説〟を覆すのだった。
ともあれ、
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