第三話

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「いや、僕はそんな……佐々木さんが整形だなんて……思って……ないよ……」  と、一応は否定の言葉を口にするが、何せ思った事を完全に言い当てられた為にどうしてもバツが悪い僕は逃げるように彼女から視線を外す。 「ねぇ、奏君?こっち見てよ」 「え?」  だがそんな僕を彼女は逃してくれないようで、僕は恐る恐る視線を戻すと彼女は真剣な表情でこちらを見つめていた。 「整形に見える?」 「いや……」  僕が整形だと言いかけた事がやはり気に障ったのだろうか?  もしかして、怒ってる? 「私の目を見て?」  僕は恐々としながらも、言われるがまま彼女の瞳へと焦点を集中させる。  潤んだ褐色の瞳がキラキラと輝いている。  その美しい瞳は真っ直ぐにこちらを見つめ、焦点が重なり合い、まるで彼女の意識そのものが伝わってくるような、そんな感覚を覚える。 (たぶん、怒っているわけじゃ……なさそうな?気がするんだけど……)  彼女が今何を思っているのか、その感情は読めない。
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