第三話

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 その言葉の意味を探るも何を言っているのか、まったく訳が分からない。  ()()()とは?一体いつの事だ?まるで僕の事を以前から知っているかのような物言いだ。   「――残念。こんなに見つめ合ってもまだ君は私に気付いてくれないんだ? まぁ、そうだよね……覚えてないよね……私の事なんか」  と、そう口にした彼女は凝視を止めると自嘲した。  とりあえず、整形を疑った事に関しては怒っていない事は分かったが、僕の事を知っているかのような口ぶりが気になった。  おそらく人違いか何かだろうと思いつつも、一応掘り下げてみる事に。   「……あの、もしかして佐々木さんは僕の事を……知ってる……って事?」 「うん。知ってるよ。すごく前から」 「それって本当に僕の事? 多分だけど僕じゃない誰かの事を僕だと勘違いしてるんじゃない?」 「ううん。間違いなく君だよ?吉本奏君――。君が覚えていないだけで私達はずっと前に出会ってるんだよ?」  まぁ確かに。僕の下の名前を知っていたわけだし、彼女の言う通り、僕が忘れているだけで本当に面識があるのかもしれない。  しかし、一体いつ、どこで、どんな共通点があって……?   「え?そうなの?……、でも何で?どうやって?」 「知りたい?」
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