第二話

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 母さんが死だ時でさえ父は大事な仕事が立て込んでいるからと、赴任先の海外から戻って来ず、その為当時小学生だった僕が喪主を務めた。  その後も父は海外勤務を続け、そして僕は親戚の家へと預けられる事となった。  親戚の叔父さんや叔母さんにはとても良くして貰っていたが、同世代の従姉妹がいる中で、僕だけが叔父さんや叔母さんの本当の子供ではないという疎外感はどうしても拭えなかった。  そして何よりも辛かったのは目の前で繰り広げられる叔母さんと従姉妹達との母子によるやり取りだ。  その光景を目の当たりにしながら僕は死んだ母の事を思い出した。  その思い出が明るく楽しいものであればある程に、僕の心はそれだけ傷ついた。  ただ、そんな辛い思いを抱えながらも約5年間、従姉妹達と変わらない扱いで接してくれた叔父さんと叔母さんへの感謝の気持ちは絶えない。
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