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閉じ箱の開幕
無限に続くような蒼穹と白砂の海が交わるところ。
世界の果てに空いた穴みたいに黒い箱が浮かんでる。
閉じ箱の内側は本日も晴天。
また一人、在りもしない現実への帰還を願う者が葬り去られる。また一つ、使い果たされ望まれなくなった物語が放り捨てられる。虹色の扉は開かれて、子供騙しの舞台が踊る。誰もが正しさを求めたからこそ誰も救われなかった残酷劇を惰性で繰り返す。
死産を待つ胎児のように、生まれる前に失われた悪い夢。始まらなければ終われもしない幻想譚。創造主はとっくに世界を忘れ去り、救いの手が差し伸べられることはない。
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