【短編版】女手一つで育て上げた娘が嫁に行き、あとはゆっくり余生を過ごそうと思っていたら、年下の公爵様に見初められました

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それからの彼の行動はとてつもなく早かった。  出会った翌日には婚約発表。彼の希望ではその翌日に結婚式を挙げたかったらしいが、さすがにそうはいかず結局、可能な限りの最短スケジュールで彼は渋々納得した。  おそらくは私の気が変わらぬ内に、という事だったのだろうと思う。  あとそれとこれは余談だが、ウイリアム様との婚約発表の時、ジョンとメアリーの姿を見かけた。  その時に婚約者として私が紹介された瞬間、丁度あの二人の反応が目に入り、その表情ときたらそれはそれは傑作だった。    ジョンはポカーンと阿呆面全開に、メアリーは一瞬だけ驚いた顔つきで直後は嫉妬に狂ったような顔に豹変した。  それと、これは後から人伝えで聞いた話だけれど、メアリーとジョンは私の結婚後すぐに会社経営に乗り出したらしいが、それが大失敗。しかも最初から手広くやろうとしたものだから、家も財産も何もかも差押えられ、身包み剥がされた挙句に目を覆いたくなるような額の借金だけが残ったという。  なんでも、ウイリアム様と結婚した私に対抗心を燃やしたメアリーがジョンに会社設立をけしかけたとか。  王国一の大企業を立ち上げたその先に爵位を得る。  これがメアリーの立てた目算だったらしいが、そもそも会社経営を舐めてかかる時点で愚か者だ。  そして、その後の二人はというと……その後の二人の事は誰も知らないらしい。
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